
地震は3回あったらしく、3回目は10時頃、ちょうど私たちがハナ・ハイウェイを走っている頃だ。震源地のハワイ島は相当被害が大きかったが、あのハナ・ハイウェイもきっと落石があったに違いない。家の電話機を見ると、留守番電話のメッセージが点滅していた。再生すると、
「トシコです。大丈夫ですか。連絡ください」
しかし困ったことに、誰もトシコさんを知らないという。このメッセージの主は今も謎のまま迷宮入りし、忘れら去られることになったのだが(ホントは誰かの愛人なんじゃない?)、そんな事を考えているうちに電話がなった。Sさんの日本の家族からだった。どうやら日本では地震のニュースがあっという間に広がり、みんな心配しているらしい。しかもテレビを見ているとホノルルの観光客がカンカンに怒っている。
「水がない。食べ物もない。食料はどんどん値上がりし、食べ物を探し歩いているうちに迷子になった。最悪だ」
きっと同じ映像が日本でも流れているんだろう。みんな、心配してるんだろうな。
「津波の心配はありません」とテレビは言う。もう、たっぷり海で泳いで来ちゃったよ。
とりあえず、日本の家族にコレクトコールで電話を入れた。
この家の電話は着信専用で、通信料がかかる通話はクレジット・カードを使わねばならないという、とてつもなく面倒くさい代物だった。どこにかければクレジット・コールができるのかも分からず、70年代の「オペレーター」という曲を思い出しながら「0」番にかけてみたら、本当にオペレーターが出てきてくれた。今も昔も困ったときは0番なんだな、と思うととてもうれしかった。
予定では明日、私たちは空路でホノルルに向かう。果たして停電しているホノルルに行くべきか、もう一泊ハナにとどまるべきか。しかも天候が下り坂で、雷雨の可能性も濃いという。
不便な電話ながらも駆使してあちこちに電話をかけ、飛行機や宿など延泊しても可能なことを確認した頃、テレビで「ホノルルの停電は全面復旧」のニュースが流れた。
どうしようか。延泊すればそれなりに料金はかかる。
「パニックしてるホノルルに行ってみるのも面白いかも?」と私。
その夜は「家族」全員でハナ最後の夕食を自炊して楽しんだ。Bネエの作った豚肉いため、私の作ったパスタ、子どもたちが飾りつけたシュリンプ・カクテル、オモさん自作のココナッツ・ゼリーなどがテーブルに並び、7人でディナーを堪能。地震の影響か虫が異常発生しており、網戸の隅に虫が群がり、部屋の中に入った虫はテーブルの料理の上にも落ちてきた。