ナガタ・ストアの店員さんは日系とは思えないほど日本語が上手な女性だった。とりあえずの食料とビールやワインをレジに積み上げて、ガラス棚に並んでいたいなりずしやドーナツも注文した。
「これからどこか行くの?」
「これからハナまで行くんですよ」と私。
「あらっ。それは急がないと!」とナガタの店員さん。
このひと言が引き金になった。時計を見るともうすぐ4時。段ボールに買った食材を詰め込んで、駐車場へ早足で向かったが、まだオモさんもBネエも戻ってきていない。レストランに見に行くと、2人は料理の入ったディッシュと7人分のドリンク・カップを前に「7人分のドリンク・カップなんて2人じゃとても運べないぞー」と右往左往していた。
「行きますよ! 急がないと日が暮れちゃうんだから!」と私の一喝にあおられて、オモさんとBネエも急ぎ足に。
「でもハナ・ハイウェイは休憩しながら行かないと.....トイレ休憩とか」と口ごもるオモさん。
「ウチはノンストップでも大丈夫ですよ!」切り捨てる私。
休憩へのかすかな期待を胸に、とにかく日没前に宿にたどり着こうと私たちはハナ・ハイウェイに突入した。
617のヘアピン・カーブ、そして56の橋は車一台しか通れない狭さ。ハナ・ハイウェイでは対向車が来れば手前で停止するか低速ですれ違い、見通しの悪さを慎重な運転で補わなければならない。途中カーブの合間からのぞく景色はそれはそれは美しいけれど、それを堪能している余裕など運転手にはない。もうそろそろ終点だろうと思っても「あと半分」の標識。
私たちの車内は、それでも落ち着いていた。いなりずしやドーナツで満腹の子どもたちはスヤスヤと眠りにつき、私とオットはテイクアウトした料理をおいしくいただいた。特にマヒマヒが最高においしかった。
でもオモさんたちの車内は厳しい状況に追い込まれていたらしい。トイレ休憩に予定していた中間地点のスナックショップは、すでに閉店していたため休憩を断念。カーブの連続に車酔いし始めたBネエが気を紛らわせるために歌い出し、Sさんはどんどん気分が悪くなっていって動かない。オモさんは、助手席・Bネエの「Lepe
Ula'ula〜♪ Kaimana Hila〜♪」の歌声にあおられながらひたすらハンドルを切るのみ。
それでも終わりはやってくる。2時間ほどすると、カーブはゆるやかになってきた。幸運にも、宿泊先はハナ中心街よりもかなり手前にあるため、この分なら余裕で日没前にたどり着けそうだ。目の前が明るくなってきた。
