しかし大雨をもろともせず、プロペラ機は滑走路を走りだした。私の目の前には操縦中のパイロット。計器が多くて外などほとんど見えないような操縦席だが、彼らは確実に飛び立って行った。片手で操縦桿を握り、もう片手で床においてあるバッグからスポーツドリンクを取り出すパイロット。自家用ジェットに乗ってる気分だが、不思議と安心感がある。彼らが常に笑顔で楽しそうだったからかもしれない。
雲と雲の間を飛び、いつしか雨は消えて窓の下には島の全景が見えてきた。そして機体右側の窓に大きな虹が出現。シャッターを押す手が止まらない。
「ホノルルはハナより天気がいいですよ」
パイロットが教えてくれたとおり、ホノルル空港は雨が上がりさんさんと日が差していた。機体はすんなりと滑走路に降り、そのまま空港の片隅へ。停止するとすぐに折りたたみ式タラップが広げられ、階段を数段降りただけで、私たちは空港の地面に足をつけた。
ゲートも通らず、そのまま数メートル先の柵を開けて外に出ると、後からスーツケースが台車に乗せられて運ばれてきた。
「はいどうぞ」
雨のハナを飛び立って約30分後、私たちはスーツケースを押してせわしないホノルル空港の外を歩いていた。ガラス越しにはパシフィック・ウィングスの立派なカウンターが見えたが、私たちはそんなカウンターもゲートも通過することなく、厳重な手荷物検査も行われないまま、空港の外に放り出されていた。
雨のあがったタクシー乗り場に偶然、7人が一度に乗れる車がやってきた。真っ白なリムジンである。ハワイで挙式をあげる日本人カップルしか使わないような、ましてや旅慣れた旅行者は絶対にさけてとおるようなリムジンを前にして、私たちは歓喜した。田舎のハナ、大雨に泣かされたハナに比べたら、大都会ホノルルのリムジンはキラキラ輝いて見えたのだ。
ホノルルは昨日の停電など何事もなかったかのように、せわしなく動いていた。予約していたパゴダ・ホテル(Pagoda Hotel)にチェックイン。都会の便利さを実感しながら、家族4人だけになったコンドミニアムはちょっぴり素っ気なくて寂しい。